パラリンピック競技の紹介「ボッチャ」
中小企業や小企業でも社内レクリエーション競技や社内スポーツとして採用できると思われるスポーツの「ボッチャ」が8月28日(土)~9月5日(日)に有明体操競技場でパラリンピックの公式競技として行われる。
「ボッチャ」は障がい者はもちろん高齢者から幼児まで多くの人が楽しめるスポーツで、頭脳と技を駆使した地上のカーリングとも言われており、ジャックボール(白い目標球)に、自分たちのカラーボール(赤・青)をいかに近づけられるかでポイントを競う対戦型競技。
重度の脳性まひ、もしくは同程度の四肢重度機能障がいのある人のために、ヨーロッパで考案されたパラリンピックの正式種目で1988年にパラリンピックの公式競技として採用されている。
コートはバトミントンコートより少し小さい6m×12,5mのコートで行い、赤と青それぞれのボールを投げたり転がしたりして、的となるジャックボールに、どれだけ近づけられるかでのポイントを競い合うが、レクリエーションなどでは小さなコートで行ったりもしている。
競技は青と赤の二手に分かれて行い、個人戦、団体戦(ペア戦と3人のチーム戦)があり、障がいの程度によっては勾配具(ランプス)の使用や介助者によるサポートも認められている。
自分のカラーボールは投げても、転がしても、障がいのクラスによっては蹴っても良い。もちろん相手のカラーボールやジャックボールに当てて動かしても良く、最終的にジャックボールに近いボールが多い方にポイントが付与される。
それぞれ6球づつの赤か青のカラーボールを持ち、赤も青も6球のボールを投げ終わった時点で1エンドが終了となり、競技により決められた4エンドや6エンドの合計ポイントで勝敗が決定する。
ボッチャは、カーリング同様、相手のボールや自分のボールに投げたボールを当ててそのボールを動かすことができるほか、相手の投球コースを邪魔するところに投げたり、目標となるジャックボールを弾いて自分に有利になるように移動させることも可能なため、最初に投げるジャックボールの位置をどこにするかが重要な戦略となり、相手がジャックボールを狙いにくい場所に自分のボールを投げたりと駆け引きをしながら、転がしたり、止めたり、弾いたりと技術を駆使して競技を行う。
また、ボッチャはジャックボールに遠いほうが投げなければならず、相手のボールがジャックボールに近い時は相手のボールを弾いて自分のボールより遠くさせたり、ジャックボールを弾いて自分のカラーボールに近づけたり、相手が狙いにくい所にジャックボールを投げる等と、戦略とそれを行う技術が必要となり、単にボールをジャックボールに近づけるだけでなく、チェスや将棋のように、何手も先を読んで戦略を練る必要があるボッチャは技術だけでなく駆け引きなどの頭脳戦が重要とも言われている。。
見た目の激しさはないが、戦略が重要となる知的なスポーツとして人気が出てきており、近年は、障がいのある人だけでなく、東京都新宿区内の小学校や幼稚園でユニバーサルパラスポーツとしても紹介されている。幼児から年配者までが男女の隔てなく楽しめるため、自治会や企業内にボッチャ部ができたり、企業内スポーツ大会や地域スポーツコミュニケーション大会等に採用されるなど、健常者でもボッチャをプレーする人が増えている。
ボッチャはもともとヨーロッパで生まれた競技だが、近年はアジア勢の活躍が目覚ましい。日本は、前回の2016年リオ大会で、初めて銀メダルを獲得(団体BC1/2)。自国開催となる東京2020パラリンピックでは、日本選手のさらなる活躍が期待される。障がいの有無に関係なくプレーできるボッチャは、東京大会を前に、大学や企業でもサークルができるなど、健常者の間でもブームの兆し。このムーブメントに乗り遅れないためにも、8月24日から開催される東京パラリンピックでもボッチャの戦略と技を駆使した、トップ選手たちの熱い戦いに注目して楽しさを感じて頂きたい。
詳しくは日本ボッチャ協会のホームページや(https://japan-boccia.com/about)を参照して企業スポーツやレクリエーションとして検討してほしい。
参考
ボッチャのクラス分け
1:「BC1」(車いす操作不可/四肢・体幹に重度のまひがある/脳原性疾患のみのクラス)
2:「BC2」(上肢で車いすの操作がある程度可能/脳原性疾患のみのクラス)
3:「BC3」(最も障がいの重いクラス。自力で投球ができない/脳原性疾患、非脳原性疾患)
4:「BC4」(筋ジストロフィーなど、BC1・BC2と同等の重度四肢機能障がいがある)