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目視検査の革命~外観品質と検査員を守る照明~

2019.03.15

 「有機EL」という次世代照明を知っているだろうか。この照明が、目視による外観検査を行う製造業の、課題解決策としてにわかに注目をされてきている。
 照明と言えば、東日本大震災後に、それまでの蛍光灯から置き換わったLEDがすっかり普及し、一般的なものになっている。LEDは、省エネ性と低コスト化により、自宅やオフィス、スーパーマーケットまで身近なものとなった。その一方で、LEDによる「眩しい」「目が疲れる」「ブルーライトの影響が心配」「モノの色が変わって見える」という声が出てきている様である。
 製造業の目視検査現場においても、LED化に伴う「眩しさ」「見にくさ」「疲労」が課題となっている。
 製造業にとって人の目による外観検査は、検査の自動化が進んでも無くすことは出来ない。そして、目視による外観検査には、多くの課題がある。
 例えば、「不良の見逃し」の原因の一つとして「検査員の疲労」が該当する。更に、昨今の製造業では、人不足を背景にした「検査員の確保」といった悩みがつきまとう。
 化学メーカーである㈱カネカ(東京都港区赤坂1の12の32/TEL:03‐5574‐8009)では、有機EL照明の光源パネルの製造とマーケティングを行っている。
 有機EL照明は「紫外線レス、低ブルーライト」「低発熱」「高演色」「薄い面発光」という特徴がある次世代光源である。光のスペクトル(波長)が自然光に近く、色の再現性が優れており、化粧用の鏡まわりや食品陳列の什器などで採用されている。また、眩しすぎずやわらかな光の為、ホテルや住宅の寝室などでも採用され出している照明である。
 ㈱カネカでは、有機EL照明の特徴を「視作業」の用途で活用出来ないかと考え、製造業の目視検査の課題解決法としての提案を推進している。
 有機EL照明の特徴は、例えばめっき部品や電子基板の半田の様に、光沢があり反射性の高い製品の目視検査では有効打となる。輝度の均一性が高い拡散光の有機EL照明は、製品の表面が見やすく異物やキズなどの違和感に気づきやすい。また、直視する事も出来る光源は、反射して目に入る光による検査員の目の疲労を大幅に低減させる事が期待出来る。
 「周辺視目視検査法」という新たな検査法の普及活動を行っている【感察工学研究会】が、昨年の暮れに大阪工業大学で開催した「外観検査ワークショップ(PVI2018)」に、複数企業の品質管理や製造管理の担当者や責任者が参加し、参加者が実際に検査方法の指導を受ける場面があった。そこで有機EL照明が紹介され、モノの見え方と目への優しさが参加者の好評を得た。
 次世代照明といわれる有機EL照明であるが、製造現場の課題解決策としては今すぐ使える新しい工法である。
 日本の製造業を取り巻く人手不足は、今後ますます深刻化が予想されている中、日本の製造業の強みである高品質を守りながら、検査員の健康に配慮した照明として有機ELに期待したい。

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