【SURTECH2023】排水用重金属処理剤「TXシリーズ」の展開を加速/東ソー
近年、排水中の重金属について排水基準値・管理強化が進んでおり、重金属を低濃度に処理可能な排水用重金属処理剤が求められている。そこで、東ソーは、高い重金属処理性能と、安全性を有する排水用重金属処理剤「TXシリーズ」の展開を加速させている。
TXシリーズは、ジチオカルバミン酸塩系の薬剤で、重金属と反応し、不溶性の錯体を形成する特徴がある。この特徴を利用し、排水中の水溶性の重金属を不溶化、除去することで、排水を浄化することができる。
TXシリーズは、現行の排水処理設備に追加するだけで使用できる。例えば、工場等から排出される重金属含有排水にTXシリーズを添加し、重金属を不溶化した後、無機凝集剤、高分子凝集剤を添加し、不溶化物を沈殿槽でスラッジとして沈降させた後、上澄みをろ過して放流する。
TXシリーズとして、標準グレードのTX-20、高性能グレードのTX-55をラインナップしており、そのいずれも①高い重金属処理性能、②省コスト、③高い安全性、という特徴を持っている。また、TXシリーズとは別に亜鉛の排水基準厳格化を見据え、難処理亜鉛に特化したTP-Zの早期上市に向け開発を進めている。今回、高性能グレードのTX-55、難処理亜鉛特化グレードのTP-Zを中心に紹介する。
【高い重金属処理性能】
プリント基板工場におけるCu含有排水の処理事例では、従来剤ではクリアできなかった自主強化基準を、TX-55を用いることで達成することができる(図1)。
【省コスト化】
TX-55は、従来剤よりフロックサイズが大きく、凝集性が高い特徴がある(図2)。そのため、併用する無機凝集剤の使用量を削減することが可能となり、結果汚泥の発生量削減にも寄与する。
【難処理亜鉛に対応】
TP-Zは従来剤では処理が困難だったキレート含有排水に効果を示す。沈降性とろ過性も従来剤より良好であることを実排水で確認しており、亜鉛処理需要の拡大に向け開発を進めている(図3)。
また、同社は、総合化学メーカーとして培ってきた知見を生かした技術サービスを得意としている。単に排水処理剤を販売するだけでなく、現行設備・排水組成に応じた最適化処方を提案し、多様化する顧客ニーズに応えている。
「TXシリーズ」は、高い重金属処理性能を有し、かつ、有害ガスを発生しない。さらには、廃棄物(汚泥)削減にも役立つため、SDGsの観点からも世界的な課題である環境浄化、産業発展、安全衛生に大きく貢献すると確信する。
https://www.tosoh.co.jp/product/organic/heavy_metal_processing_agent.html